“できない”と言える人ほど、豊かに生きている理由
こんばんは。
紙あそびすとの荒川千恵子です。
ある日の自宅レッスンでのことです。
「折り紙をしていると、無心になりますよね」と話しながら、
おしゃべりが止まらないAさん。
Aさんにはお姉さんがいて、子どもの頃は夏休みの宿題を
ほとんど自分でやったことがなかったそうです。
勉強も、高校になるまであまりしてこなかったとか。
本も、お姉さんが読書好きだったことから、
「本は身体の弱い人が読むもの」と思い込んでいて、
長い間手に取ることがなかったそうです。
その代わり、外で遊ぶことや体を動かすことが多くて、
行動力があって、スポーツも得意。
そんなAさんが、ふと笑いながらこう言いました。
「私、誰かに頼らないと、何もできないんです」
結婚して、お仕事をして、子育てをして、介護もして、
今はお孫さんのことまでされている方です。
それでも、そう言って笑っているんです。
そして続けて、
「でも、いつも誰かが助けてくれて。本当に感謝しかないんです」と。
なんだか、その言葉を聞いて、
とてもあたたかい気持ちになりました。
人は誰かと関わらずに生きていくことはできませんが、
こんなふうに「感謝」に包まれて過ごしている姿って、
とても素敵だなぁと思います。
今は、なんでもできることが良いことのように言われることも多いですが、
本当にそれがその人のしあわせなのかな、と
ふと立ち止まって考えたくなりました。
Aさんは大人になってから時代小説を読みはじめて、
その面白さに夢中になったそうです。
「勉強してこなかった」とおっしゃっていましたが、
お話を聞いていると、とてもやわらかくて、
物事をよく見ていらっしゃる方だと感じます。
「できないことがある」と言えるのは、
もしかしたら、自分にできることもちゃんと分かっているから。
そして、これからできるようになることを、
楽しみにできるからなのかもしれません。
「誰かに頼らないと何もできない」と言えるのは、
頼ることが、自分の価値を下げることではないと、
自然に知っているから。
折り紙の時間は、上手に折れるかどうかだけではなくて、
その人らしさがふっと表れる時間でもあります。
できる、できないを越えて、
それぞれのペースで形になっていく時間。
その中に、その人のやさしさや、これまでの歩みが
そっとにじむような気がしています。
そんな時間を、これからも大切にしていきたいなと思います。
あなたは、「できない」と言えること、ありますか?